Cabinet d'Orthodontie Dr. Mayumi
矯正治療は初期矯正治療と本格矯正治療があります。
初期矯正治療は、小学生くらいの時期にアゴの成長をコントロールしていく治療で、 本格矯正治療は、永久歯が生えそろった中学生くらいの時期以降から行う歯並び・咬み合わせを整える治療になります。
治療開始時期は、年齢でなく歯並びの状態により異なります。当院では7~9才くらいまでに矯正相談を行い、その後の定期的なチェックをお勧めしています。 個人の成長パターンなどを把握したり、遺伝性でない不正咬合を予防します。 また、本格矯正は、成長を利用できる中学生から高校生の時期をお勧めしています。成長には個人差がありますので、定期的なチェックにより、ベストなタイミングで本格矯正を行うことができます。
18才くらいまでの矯正治療については医療費控除の対象になります。
当院は矯正医である院長が常駐しておりますので、随時急患対応が可能です。院長、スタッフともに矯正歯科の豊富な知識と経験を有し、こどものお口や心理面の成長段階を理解しておりますので、安心して矯正治療を受けていただけます。
「おとなの歯が出てきたら、すごく大きいので矯正が必要でしょうか?」、「矯正は早ければ早い方が良い?」、「他院で矯正治療を勧められた」 といったご相談を多く受けます。
歯の生え変わりの時期は、アゴの骨が大きく成長する時期でもあるため(歯の大きさは成長しません)、アゴの骨が成長することにより、 自然に歯並びや咬み合わせがよくなることが多いので、当院では、多くの場合、矯正相談後すぐに矯正をお勧めすることはありません。下記の症例はいずれも他の歯医者さんで今すぐに矯正した方がいいと言われて、来院された患者さんです。
レントゲンを撮影させていただき、生え変わりが順調に進んでいるか、犬歯という歯の位置や方向に異常がないか、
先天欠如(もともと大人の歯がない)がないかなどを確認し、その子の歯の大きさ、アゴの成長と歯の生え変わり、
咬み合わせ、顔の形などを経過観察したり、癖に対する指導やトレーニングを行いながら、
「子どもの早期矯正が必要か」をチェックしています。
また、矯正治療を希望されない場合やその時点では矯正が必要ない場合でも、 成長期は矯正医による定期的な経過観察が必要です。 適切な時期に異常をみつけ、乳歯の抜歯などを行うことで、遺伝性ではない不正咬合を予防することが可能です。
子どもの早期矯正に関しては、色々な情報が溢れているのが現状ですが、当院では 日本矯正歯科学会の診療ガイドライン(上顎前突、成長期の骨格性下顎前突)を遵守し、 エビデンス(科学的根拠)に基づいた治療を提供いたします。
拡大については、当院では症例を精査し必要とされる場合に上アゴのみ行っております。 (それでも年に数症例です。) 下アゴは、上のアゴとは性質が異なり、無理に歯槽骨(歯ぐきの部分)で拡大しても元に戻るため、当院では行っておりません。 また、下アゴの前歯のガタガタについては、ワイヤーなどで前方に出して整えると下アゴの成長を妨げる危険性がありますので、 多くの場合、早期治療では治療致しません。
当院での子どもの早期矯正は、取り外しのきく、夜寝るときだけに使用する装置(下の写真参考)や上アゴに部分的にだけワイヤーを通す装置を使用します。
1つ1つの歯にブラケットといわれる装置を接着し、そこにワイヤーを通していくことにより歯並びを整えます。初期矯正で治療を行わなかった下の前歯も含めてすべての歯に装置を付けて治療します。
当院では、12歳臼歯が萌出し、第2次成長期を利用できる中~高校生の時期からの本格矯正をお勧めしています。小学生のうちにアゴを拡大して本格矯正まで終わらせてしまう方針もあるようですが、その後出てくる上アゴの12歳臼歯が外側に向いてかみ合わせが悪くなることがあります。また第2次成長期(中~高校生)には骨格(顔の形も含めて)やかみ合わせが変化しますので、当院では小学生の間に本格矯正が終わることはありません。
歯を抜かずに行う治療と抜いて行う治療、矯正装置をなるべく目立たなくして行う治療、 痛みに優しいワイヤーを使用する治療など多様な治療方法があります。 患者さん一人一人に合わせた治療方針を提案いたします。
当院では、前歯はクリアブラケット、奥歯はメタルブラケットを使用しています。ご希望の方には、最初のステップ(レベリング)ではホワイトワイヤーを使用しますが、途中のステップ(歯根の平行性およびトルクコントロールが必要になるため)から、銀のワイヤーになります。
舌側装置は、発音するたび、食事をするたびに舌に装置が当たって、痛みが出ます。
特に下あごの奥歯の装置は、舌の横が常にあたってくるため、非常に強い痛みが続きます。
当院では、目立ちやすい上顎は舌側、下顎は唇側のブラケットのハーフリンガルをお勧めしています。
歯科矯正用アンカースクリューを使用することにより、ヘッドギアを用いることなく迅速な歯の移動が行えます。
アンカースクリューは治療終了時に除去します。
① 装置装着後および治療後に違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。
一般的には2、3日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 治療期間中、 装置が外れて誤飲することがあります。
③ 治療中は複雑な形をした矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。
歯みがきを適切に行い、フッ化物洗口を行ったり、お口の中を常に清潔に保ち、
小児歯科やかかりつけ医にて定期的に検診することが非常に大切です。
④ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、
矯正歯科治療には患者さまの協力が必要不可欠であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
⑤ 装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑥ あごの成長発育や歯の生え変わりにより、歯並びや咬み合せは変化します。
⑦ 加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せは一生をかけて変化します。親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じることもあります。
これらの変化を最小限に抑えるために矯正治療後も定期的なチェックを行う必要があります。
⑧ レントゲンやCT撮影時には、エックス線が出ます。エックス線量はごくわずかなため、影響はほとんどありまんが、完全にゼロにすることはできません。
⑨ 歯の動き方には個人差があります。そのため予想された治療期間が延長する可能性があります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯根の先が丸くなったり、歯根の長さが短くなったり、歯肉がやせて下がることがあります。
⑫ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑬ ごくまれに歯の状態により神経が壊死することがあります。
⑭ ごくまれに金属等のアレルギー症状やラテックスアレルギーが出ることがあります。
⑮ ごくまれに治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの顎関節症状が生じることがあります。
⑯ 装置を外す際に歯の表面のエナメル質に微小な亀裂が入る場合があります。またかぶせ物(補綴物)の一部が取れてしまうことがあります。
⑰ 治療期間中、歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行うことがあります。また矯正治療が終了し装置が外れた後に、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や
むし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
矯正相談 | |||||
精密検査 | |||||
約8歳 | 初期治療 | ||||
経過観察 | |||||
12歳~ | (再)矯正相談 | ||||
精密検査 | 終了 | ||||
本格矯正 | |||||
保定(後戻り防止) |
矯正相談 | |||||
精密検査 | |||||
本格矯正 | |||||
保定(後戻り防止) |
17歳女性、上の前歯のがたがたと受け口を主訴に来院されました。上アゴの叢生(がたがた)を伴う下顎前突(下アゴが出ている)と診断。
上下顎第一小臼歯4本を抜歯し、ハーフリンガル(上アゴは舌側装置、下アゴは表側装置)にて治療しました。治療期間は1年2か月、保定期間は2年8か月。その後1年ごとに定期検診にいらしてくれています。精密検査から保定期間までの治療費の総額は、約96万円(抜歯代は別途)です。裏側の舌側装置は、表側に比べて治療期間が長くなる傾向があり、リスク要因となります。
11歳女性、上の前歯が出ていること、下の前歯ががたがたであることを主訴に来院されました。上アゴに八重歯と上下アゴの叢生(がたがた)が認められます。
上下顎第一小臼歯4本を抜歯し、マルチブラケット装置にて治療しました。治療期間は2年10か月、保定期間は2年3か月。その後1年ごとに定期検診にいらしてくれています。精密検査から保定期間までの治療費の総額は、約79万7千円(抜歯代別途)です。前歯部のがたがたがある場合、抜歯して治療すると歯グキのラインが下がったように見えることがあります。
16歳女性、大学病院小児歯科より紹介され来院されました。7歳時、┗1の埋伏のため、大学病院にて開窓牽引を行っておりました。上アゴに八重歯と上下アゴの叢生(がたがた)が認められます。
上下顎第一小臼歯4本を抜歯し、マルチブラケット装置にて治療しました。治療期間は1年5か月。治療費の総額は、約77万円(抜歯代別途)です。埋伏していた歯を牽引した場合、歯根がいい状態ではないことがあります。治療中や治療後も定期的にレントゲンと撮影し歯根吸収のリスクに留意する必要があります。
16歳女性、全体的にがたがたしていることを主訴に来院されました。上アゴの右側に八重歯が認めら、上下前歯の正中(中心)がずれています。左側小臼歯部、前歯のかみ合わせがよくありません。
上下顎第一小臼歯4本を抜歯し、マルチブラケット装置にて治療しました。本症例におけるリスクと副作用については、かみ合わせが左側にずれており、治療中、ごくまれに顎関節症状が出ることがあり、治療後もかみ合わせの安定性に留意する必要があります。治療期間は2年0か月。精密検査からの治療費の総額は、約84万円(抜歯代別途)です。
8歳、男児。かかりつけで、過蓋咬合(かみ合わせが深い)を指摘されて来院されました。上の前歯が下の歯に大きく覆いかぶさり、下の前歯が見えない状態です。
上の前歯4本をブラケット装置で整えた後、マウスピース(FKO)にてかみ合わせを改善しました。治療期間はブラケット5か月、その後FKOを3年。治療費の総額は、約38万円です。小児の矯正は成長を誘導するため、治療期間が長くなりますし、その間本人の協力が不可欠です。特にもともとかみ合わせが深い場合は、装置を中止するとかみ合わせがまた深く戻ることがあり、治療後の経過観察が重要になります。12歳臼歯が生えた頃、再度精密検査を行い、本格矯正が必要となる可能性もあり、その際は、別途料金と期間がかかります。